2025/04/02 00:22

先日悲しい事件がありました。


自宅で亡くなった家族の遺体を届け出ずに放置したとして、家族が死体遺棄の疑いで逮捕された、という報道がありました。「葬儀のお金が無かったので届け出なかった」と話したと伝えられています(個別の事件の詳細は省略しています)。


◎お葬式は無理に行わなくても大丈夫です。ただし、


日本では、お葬式を行わなくても法律的に問題はありません。葬儀は義務ではなく、個人の自由や遺族の意向によって決められるものです。ただし、亡くなった方の遺体を適切に処理することは法律で定められています(「墓地、埋葬等に関する法律」)。

お葬式をしない場合、火葬のみを行うシンプルな形を選ぶ人も増えています(直葬[ちょくそう])。これらは費用や手間を抑えたい場合、または故人や遺族の希望によるものです。お葬式を省略するかどうかは、宗教観、経済的状況、家族の考え方次第なので、「やらなくてもいい」と一概には言えませんが、やらない選択肢も十分にあり得ます。


◎亡くなった方の遺体は適切に処理しなくてはなりません。


日本で亡くなった方の遺体を適切に処理する義務を定めている法律は、主に「墓地、埋葬等に関する法律」(通称:墓埋法、1948年制定、法律第48号)です。この法律は、遺体の埋葬や火葬、墓地の管理などに関するルールを定めており、公衆衛生や社会秩序を保つことを目的としています。以下に、関連する主要な条文とその解釈について説明します。


1. 墓埋法第3条(火葬・埋葬のタイミング)

墓埋法第3条では、「埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後24時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠7箇月に満たない死産のときは、この限りでない。」とされています。

これは遺体の処理方法として「埋葬」または「火葬」が想定されており、それ以外の方法(例えば遺体を放置する、廃棄するなど)は認められていないことを間接的に示しています。また、24時間経過後に処理を行うことが前提とされています。これは、死亡の確認を確実に行い、誤った処理を防ぐためです。ただし、感染症などの特例では例外が認められることがあります。



2. 墓埋法第5条(許可制)

墓埋法第5条では、埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、市町村長(特別区の区長を含む)の許可を受けなければならないとされています。実際には、死亡届を提出して「火葬許可証」の交付を受ける流れになります。これにより、許可されない方法(例えば自宅で勝手に焼却する、放置するなど)は認められていないことになります。





3. 墓埋法第9条(行う者がいない場合の市町村長の対応)

墓埋法第9条では、死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき、又は判明しないときは、死亡地の市町村長がこれを行わなければならないとされています。この場合の費用については、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定が準用されます。


4. 墓埋法第4条(埋葬・火葬ができる場所)

墓埋法第4条では、埋葬や焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で、火葬は火葬場以外の施設で行ってはならないとされています。


◎埋葬や火葬をしないだけで罪になる?


墓埋法には、親族などに埋葬や火葬を行うことを義務づけ、行わないこと自体を罰する規定は見当たりません。単に「私はやりません」と拒否するだけで、ただちに罪に問われるわけではないとされています。

しかし、遺体を放置したり不適切に扱ったりすると、別の法律である「刑法第190条(死体遺棄罪)」が適用される可能性があります。


<刑法第190条(死体遺棄罪)>

刑法第190条(死体遺棄罪)では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。」(2025年6月1日の刑法改正により、「懲役」は「拘禁刑」になりました)とされています。死体遺棄罪が成立するのは、遺体を「遺棄」したり「不適切に扱う」行為があった場合です。例えば、以下のようなケースがそれに該当します。


・遺体を自宅に放置し続け、腐敗が進むような状態にする。

・遺体をゴミとして捨てる、隠す、埋めるなどの行為。


埋葬や火葬をしないことと、遺体を「遺棄」することは別です。埋葬や火葬をしないだけであれば直ちに罪にはなりませんが、遺体を放置して「遺棄」とみなされる状況になれば、死体遺棄罪に問われる可能性があります。



◎埋葬や火葬を行うことが難しい場合はどうすれば良い?


自治体に連絡しましょう。

遺体を放置せず、まず自治体(市区町村)や警察に相談しましょう。身寄りがない場合や、引き取る人が判明しない場合には、墓埋法第9条に基づき、死亡地の市町村長が埋葬・火葬を行います。手順の一例は以下の通りです(状況により異なるため、詳細は自治体の窓口にご確認ください)。


手順1)死亡が確認されたら、死亡届を役所に提出(医師の死亡診断書が必要)。

手順2)自治体に「親族が処理できないので対応してほしい」と連絡。

手順3)自治体が埋葬・火葬の手配を行う。


遺体が適切に処理されるよう、早めに自治体へ相談することが大切です。


今回のような悲しい事件を避けるためにも、困ったときには早めに自治体や警察へ相談することが大切です。


◎この場合の遺体の処理に関わる費用はどうなる?


自治体が埋葬や火葬を行った場合の費用は、墓埋法第9条により、行旅病人及行旅死亡人取扱法の規定が準用されます。この法律では、費用はまず亡くなった方の遺留金品から充てられ、足りない場合には、扶養義務者などに請求される場合があるとされています。具体的な扱いは自治体によって異なるため、自治体の窓口にご確認ください。


<墓埋法第9条(原文)>

墓埋法第9条では、「埋葬又は火葬に要する費用は、これを執行する者が死亡者の遺留した財産で支弁することができるときは、その財産から支弁しなければならない。ただし、その財産が埋葬若しくは火葬をすべき者の扶養に欠くことができないものであるときは、この限りでない。前項に規定する場合を除くほか、埋葬又は火葬に要する費用は、当該埋葬又は火葬をすべき者が負担しなければならない。」とされています。これは「誰が費用を払うか」を優先順位付きで定めたもので、まず遺産、次に「すべき者」という順番になっています。

ただし、法律上の義務があっても、現実には経済的状況や関係者の意思で負担が回避される場合があり、自治体が最終的なセーフティネットとして機能します。


◎葬祭関連費用を一部補填する制度があります!


今回の火葬のみの場合も含む葬祭関連費用を一部補填する制度がありますの。以下が主なものになります。


1. 国民健康保険の葬祭費

被保険者が亡くなった場合、葬祭を行った人(喪主など)に「葬祭費」が支給されます。

金額は自治体により異なります(例:東京23区では7万円)。

申請は、葬儀を行った日の翌日から2年以内に、故人が加入していた国民健康保険の窓口(市役所など)で行います(期限は自治体により異なる場合があります)。必要な書類は死亡届の写しや葬祭費の領収書など。


2. 後期高齢者医療制度の葬祭費

75歳以上の人が加入する後期高齢者医療制度でも、同様に葬祭費が支給されます。

金額は自治体により異なります(例:東京23区では7万円)。

申請方法も国民健康保険と同様、市区町村の窓口で手続き。


3. 生活保護受給者の場合

生活保護を受けていた人が亡くなった場合、「葬祭扶助」が適用され、公費で賄われます。

基準額は、お住まいの地域(級地)によって定められています(例:令和8年度の2級地では、大人219,000円以内)。

申請方法は事前に申請が必要で、葬儀社と自治体が連携して手配することが多い。


4. 自治体独自の助成

一部の自治体では、住民向けに火葬料を無料にしたり、低額に抑えたりする取り組みがあります。

また、非課税世帯や低所得者向けに独自の補助金を設けている自治体もまれにあります(要確認)。


*注意点*

<還付のタイミング>

葬祭費は後から支給されるため、火葬時に一旦全額を自分で支払う必要があります。


<民営施設の場合>

公営と違い補填や助成の対象外の場合があるため、事前に確認しておく必要があります。


<情報収集>

補填や助成の詳細は自治体や施設ごとに異なるので、事前に市区町村のウェブサイトや窓口で確認するのが確実です。




出典・参考資料

本記事の法令・制度の説明は、以下の資料をもとに確認・整理しました(各リンクの最終確認日:2026年10月13日)。

※葬祭費の金額・申請期限・葬祭扶助の基準額は、制度や自治体、年度により異なります。実際の手続きは、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

FOLLOW US

ZAYU公式アカウント

商品の写真や、自宅でのお参りのかたちをご紹介しています。

「お知らせ・お役立ち情報」の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、「お知らせ・お役立ち情報」の利用(その利用に付随する場合も含みます)により利用者及び第三者が被った損害については、弊社は、損害賠償責任、営業損失補償責任その他法律上、事実上を問わず一切責任を負わないものとします。